日本針路研究所

シンポジウム 日中友愛外交の道を探る

2015年10月4日(日)午後1時30分〜 明治大学グローバルフロント1Fグローバルホール
報告
 矢吹 晋さん (横浜市立大学名誉教授)
 孫崎享さん(東アジア共同体研究所所長)
 荒井利明さん(元滋賀県立大学教授)
特別発言:鳩山友紀夫さん(東アジア共同体研究所理事長)
司会 高野 孟さん(ザ・ジャーナル主宰)
開会挨拶  西川伸一(政治制度研究センター)
閉会挨拶  村岡 到(NPO日本針路研究所)
共催:明治大学・政治制度研究センター NPO日本針路研究所

シンポジウム前半 https://www.youtube.com/watch?v=JE36VI8r47E
      後半 https://www.youtube.com/watch?v=aAk3eUwEyLM
「UPLAN(ユープラン)」 https://www.youtube.com/user/77209088

矢吹 晋さん
原点から再考しよう

無人島尖閣は日清戦争の勝負がつきそうな時点で「無主地」として、「先占」された。半世紀後の戦争で今度は日本が敗れたが、勝者は誰か。米軍に敗れたことは明らかだが、柳条湖事件あるいは盧溝橋事件に始まる中国との勝者は誰なのか。中華民国か、中華人民共和国か。尖閣は沖縄返還に伴い、「1972年に日本に返還された」と日本人は考える。だが、戦勝国の米国も、その同盟国の蒋介石も、蒋介石と戦い勝利した毛沢東も「日本に返還された」とは、認識していない。尖閣衝突はここに始まる。相互理解への道を原点から再考し、現代中国を論じてみたい。
近著『尖閣問題の核心』(花伝社、2013年)

孫崎 享さん
独仏は協力、日中は対立、なぜ?

第二次大戦以降きわめて大きな変化は、①核兵器の出現により大国同士は戦争できないこと、②長年戦争をしてきた独仏が「憎しみ」を超え、密接な相互協力関係を築き、誰もが独仏戦争はありえないと思う関係を持つに至ったことである。同様に、アセアン諸国も宗教、政治体制の異なりを超え、武力紛争を避ける体制を築いた。
東アジアは、今、世界で最も繁栄の可能性を持っている。
日中関係も、周恩来首相と田中首相の会談で、尖閣諸島という領土問題を超え、発展の基礎を作った。今なぜ尖閣諸島が紛糾しているのか、米国の思惑を見てみたい。
近著『戦後史の正体』(創元社、2012年)

荒井利明さん
私たちにとって中国とは何か

「脱亜」の道を歩んで敗戦に到った近代の日本・日本人にとって、その致命的な誤りは中国認識・対中政策にあった。あれから70年、巷にあふれる中国崩壊論、中国脅威論、中国異質論は、現代の日本・日本人を再び「敗戦」に導こうとしているのではないか。私たちにとって中国は敵か友か、ライバルかパートナーか。私たちがめざすべきは対立・対抗の対中包囲網か協力・提携の東アジア共同体か。日中の協調なくして東アジアの平和と繁栄はない。今、私たちにとっての最大の課題は、隣の台頭した大国をいかに認識するかである。
近著『転変する東アジアのなかの日本』(日中出版、2014年)


孫崎 享さん


鳩山友紀夫元首相


荒井利明さん

高野 孟さん

「日中友愛外交の道を探る」 会場あふれる熱気

 一〇月四日、東京・御茶ノ水の明治大学グローバルフロントで、シンポジウム「日中友愛外交の道を探る」が開かれ、会場にあふれる二六〇人が参加した。明治大学・政治制度研究センターとNPO日本針路研究所が共催。司会は、高野孟氏(ザ・ジャーナル主宰)。報告とテーマは次の三つ。
・矢吹晋氏(横浜市立大学名誉教授):「原点から再考しよう」
・孫崎享氏(東アジア共同体研究所所長):「独仏は協力、日中は対立、なぜ?」
・荒井利明氏(元滋賀県立大学教授):「私たちにとって中国とは何か」
 特別発言として鳩山友紀夫氏(東アジア共同体研究所理事長・元首相)。
 開会挨拶は西川伸一氏(政治制度研究センター)、閉会挨拶は村岡到(NPO日本針路研究所)。
 会場への道路で鳩山氏の登壇を妨害しようとする右翼の街宣車が早朝からがなりたてるなかで、会場を満杯にして実に内容のあるシンポジウムとなった。司会の高野氏の好リードで、質疑も充実していた。特に、民主党政権の限界についての質問に、鳩山氏が誠実に答える姿勢が好感を呼んだ。アンケートと質問が参加者の四分の一近くもあったことは、参加者の熱心な関心を表している。
 閉会挨拶で、村岡は、憲法には出てこない〈友愛〉の大切な意味を理解したことが、クーデンホーフ・カレルギーから学んで〈友愛〉を政治理念にした、鳩山さんの祖父・鳩山一郎(元首相)を知り、鳩山さんとの接点が生まれるきっかけとなったと明らかにした。
 集会の後に、報告者・司会者も交えて歓談した。高野氏は、翁長雄志沖縄県知事選挙の勝利を勝ち取った「オール沖縄」の結集にいたる「裏話」を語った。孫崎氏は、政治への関心が激変していることを、三月の京都での講演・デモへの市民の冷ややかな反応と、最近の国会デモの様相との違いを指摘して強調した。(村岡 到)

シンポジウム 日中友愛外交の道を探る