日本針路研究所

シンポジウム 戦後70年 私たちの課題

2015年3月29日(日) 午後1時30分〜   明治大学リバティタワー6階1063教室
報告
 浅井基文さん (広島平和研究所元所長)
 荒井利明さん(元滋賀県立大学教授)
 村岡 到さん (NPO日本針路研究所)
司会 西川伸一さん(明治大学・政治制度研究センター)
共催:明治大学・政治制度研究センター NPO日本針路研究所

 戦後70年。日本は、敗戦の廃墟から復興し、アメリカに次ぐ経済大国となりました(2010年から中国に次ぐ第3位)。ですが、女性国会議員の比率では160位! 報道の自由指数では59位(民主党政権時代には11位~22位)。経済格差は広がり、大学生の多くは「人間は使い捨て」と観念し、社会の荒廃が深行しています。
 壊憲ではなく活憲を、憎しみ煽りではなく友愛を。立ち止まって、考えなくてはならない問題は多岐にわたって起きています。
 この討論会では、憲法、左翼運動、東アジアの平和をテーマに設定して、何が問題なのか、課題はどこにあるのかを真剣に探りたいと思います。ご参加ください。


「歴史〔研究〕の目的は、過去の『事実』の発掘にあるのではなく、時代が提起する『問題』の解明にある、あるいは『過去の事実の記憶』にあるのではなく、『現在の問題の解決』にあります」(渓内謙『現代史を学ぶ』)。


浅井基文さん
憲法はどこまで血肉となったか

平和憲法は血肉化していないどころか、外圧(アメリカ)と内圧(戦後保守政治・日本独特の思想的執拗低音)によって歪められてきた。しかし、平和憲法は21世紀の国際環境のもとでこそ花を開かせる条件を備えている。私たちが主権者としてこの国の進路を掌中に収め、憲法を血肉化していくことが喫緊の課題だ。
近著『すっきり!わかる 集団的自衛権Q&A』大月書店。

荒井利明さん
東アジア共同体構想の可能性

「ジャパンアズナンバーワン」時代から30年が経ち、私たちは「チャイナアズナンバーワン」時代に生きている。台頭した中国といかにつきあうか、それが今、問われている。70年前の敗戦をもたらした対中政策の失敗を繰り返してはならない。中国との競争的協調に向けて、東アジア共同体の実現をめざすべきではないか。
近著『転変する東アジアのなかの日本』日中出版。

村岡 到さん
戦後左翼の到達点、意義と限界

安倍晋三政権の大義なき解散を迎え撃つべき野党は「多弱」と揶揄され、勢力を保持している共産党にしても支持率は数%。社会党は解体した。左翼は何をめざし、日本の政治にいかなる位置を占め影響を与えたのか。その存在意義はどこにあるのか、成長できない主体的原因=限界は何なのか、真剣な反省が求められている。
近著:『貧者の一答』ロゴス。


浅井基文さん


荒井利明さん・村岡到

浅井・村岡・荒井の
  三報告めぐり充実した討論

 三月二九日、東京・お茶の水にある明治大学リバティタワーで、シンポジウム 「戦後70年、私たちの課題」が開催され、五一人が参加しました。明治大学政治制度研究センターとNPO日本針路研究所の共催で、司会は西川伸一さん(政治制度研究センター)。発題者と報告タイトルは次の通りです。
 ①浅井基文さん(広島平和研究所元所長)「憲法はどこまで血肉となったか」
 ②村岡到さん(NPO日本針路研究所)「戦後左翼の到達点、意義と限界」
 ③荒井利明さん(元滋賀県立大学教授)「東アジア共同構想の可能性」
 浅井さんは、ポツダム宣言の意味とそれを受諾して日本が〈敗戦〉したことの意味を理解することが重要であり、戦後日本を考える出発点だと強調。
 村岡さんは、浅井さんの提起とからめて、そもそも左翼が憲法や〈民主政〉を軽視してきたのは、階級国家論を取るマルクス主義の誤りの結果だと明らかにし、左翼の限界を克服を主張した。
 荒井さんは、「東アジア」の用語が浮上・定着した経過を明らかにし、中国が「東アジア共同体」の展望を打ち出すようになったことの積極的な意義を強調。
 シンポの後半は、発題者がパネラーとなり、会場の参加者と質疑討論が活発になされました。(佐藤和之)