日本針路研究所

2011.12.17 研究会 中国はどうなっているか

講師 荒井利明さん 滋賀県立大学教授

 講演のポイント
1 30数年の「改革・開放」は中国・中国人に何をもたらしたか
2 その間の歩みはモデル(「中国モデル」)となりうるのか
3 成長しつつある中間層(中産階級)は政治改革の担い手となるのか

中国はどうなっているか──改革・開放後の巨大な変化『プランB』37号に掲載(2012.3)

2011.11.6 ソ連邦崩壊20年シンポジウム

講師 塩川伸明さん 東京大学教授

自主企画 午前10時から午後1時
1 社会主義像の探究 社会主義の歴史と残された可能性・社会主義の政治体制は清廉な官僚制
2 20年後のソ連東欧 ロシア企業の体制転換・自主管理社会主義の教訓
3 ソ連崩壊後のアメリカとキューバ アメリカ建国の理念にみる市民の共同体・キューバのめざす社会主義
全体会:講演会 午後2時から5時30分                  
ソ連はどうして解体/崩壊したか 塩川伸明(東京大学教授)
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2011.8.21 研究会 生存権裁判と社会保障
──「社会保障・税一体改革」の決定にあたって

講師 朝日健二さん NPO法人朝日訴訟の会理事

 ベーシックインカムが話題になりつつありますが、そこで軸となるのが〈生存権〉です。生存権と言えば、1957年に提訴された朝日訴訟です。また、日本の社会保障制度はどうなっているのか。この問題を考えるときにも、朝日訴訟の闘いを思い起こす必要があります。60年の東京地裁での勝利判決が、社会保障の水準を大きく引き上げる出発点になったからです。
 この朝日訴訟を朝日茂さんの遺志を継いで闘ってきた朝日健二さんから、朝日訴訟と社会保障制度について話していただくことにしました。
生存権はますます重要性を高めています。

朝日健二さんの紹介

 朝日茂さんの危篤が報道され、朝日訴訟弁護団は養子縁組の提案をした。常任幹事に選出されたばかりの20歳代の青年小林健二が養子となることが決定され、朝日健二となった。 
 朝日健二さんは、1935年(昭和10年)、中国山脈の分水嶺のあたり、山口県美祢郡赤郷村八久保に生まれた。父・小林徳雄は腕のいい鍛冶屋であった。父は徴兵され、終戦後も復員が遅れ、母は五人の子を養うために奔走した。敗戦の翌年に復員した父は結核に侵されていた。不幸は重なるもので、鍛冶屋の建物は終戦の年の台風で流されていた。
 この貧困のなかで、健二さんは県立山口高等学校の通信課程へ入学した。鍛冶職をあらかた覚え、山高も卒業し、父も何回かの手術に耐えて病巣を取り除き、二人で鍛冶屋を再開しようとしていた矢先に、今度は健二さんが結核で倒れ、宇部の国立療養所山陽荘へ入院した。そこには患者自治会のほか平和を愛する会などさまざまなサークルがあり、療友から朝日訴訟の重要性を教えられ、やがて日本患者同盟の事務局員募集に応募することになった。
 こうして、朝日訴訟を原告として引き継ぐ闘いの先頭で闘ってきた朝日健二さんは、1967年、最高裁が門前払いの判決を下した後も社会保障の拡充のための活動を重ねてきた。

社会保障制度は今どうなっているのか。

 2006年7月の経済財政諮問会議は、「歳出・歳入一体改革の基本方針案に基づいて骨太の方針2006を作成する」という、4人の民間議員が示した方針で合意、生活保護について、生活扶助基準の見直し、母子加算の廃止、級地の見直しを答申した。母子加算は2009年度に全廃された。
 2011年7月1日、菅内閣が閣議で了承した「社会保障と税の一体改革」は、デフレ下のマクロ経済スライドである。あの小泉内閣でさえできなかったことを菅内閣はやろうとしている。これが非情な菅首相の正体である。老齢加算を廃止し、介護保険施設や障害者施設を利用している人たちに格差と差別をもたらし、生活保護との逆転現象を発生させた。

報告
 8月21日に開かれた。テーマは、「朝日訴訟と社会保障」で、講師は朝日健二さん(朝日訴訟の会理事)。司会は村岡到。
 朝日さんは、朝日訴訟について、その時代的背景──極度の貧困を説明し、1960年に東京地方裁判所で原告勝訴の判決文を起案した小中信幸裁判官がその後弁護士となり、昨年、保存していたその起案原稿を朝日訴訟の会に寄贈したことを紹介した。
 憲法第二五条の生存権について、この条文を提案した森戸辰男が大原社会問題研究所に務めていて、朝日訴訟で証人となった藤本武が労働科学研究所に勤めたこと、これらの研究所を創設した大原孫三郎が岡山出身者であり、不思議な因縁があると話した。
 朝日さんは、日本の社会保障制度の問題点を図表を示して明らかにした。ヨーロッパでは年金は基本給の60%給付されるが、日本ではわずか37%にすぎない。もっとも問題なのは、社会保障にかかる財源の雇用主負担が、日本は非常に低いことである。日本は19%だが、ドイツ28%、フランス29%、スウェーデン30%である。母子家庭の格差もOECD31カ国のなかで、日本はもっとも酷い。また、名古屋などでは、「寝たきりセンター」なるものができ、食事の代わりに流動食を与え、ベッドに寝かしておくだけで、給付金を巻き上げる、悲惨な実態を紹介した。
 こうした現状を直視すれば、医療・教育などでの公的責任による生活保障が強く求められていること、それは、憲法第二五条の生存権を基軸とした朝日訴訟の精神を受け継ぎ貫くことでもある、と明らかにした。

2011.8.6 討論会 講演会 原発事故の警鐘  和の母性文明への転換を

講師 村田光平さん 元駐スイス大使 地球システム・倫理学会理事 『原子力と日本病』朝日新聞社、2002年 著者)

 3・11東日本原発震災の巨大な衝撃は、「原発安全神話」を完全に吹き飛ばし、脱原発への流れを創り出しました。脱原発移行期が始まったのです。多くの人たちが、これまでの生活スタイルや価値観を問い直さなくてはと考え始めています。エネルギーをどんどん消費して「快適な」生活を望むだけでよいのか、それではやってゆけないのではないか、何をどう変えたらよいのか思案しています。「原発文化」を超えるにはどうしたらよいのでしょうか。人間は自然とどのように向き合い、他人とどのような関係を創り出さなくてはいけないのでしょうか。
 講師に招いた村田光平さんは、1990年代後半にスイス大使を歴任され、現在は地球システム・倫理学会の常任理事をされています。早くから、〈脱原発〉を主張し、原発の存在を許しているのは、「責任感、正義感、倫理観」の欠如による「日本病」に起因すると鋭く批判し、3・11後には「力の『父性文化』を、和の『母性文化』へ転換する」ことこそが必要だと提起しています(『朝日ジャーナル』特集号)。
 国際的な会議の経験も豊かで含蓄のあるお話を聞いて、考えましょう。質疑討論の時間もゆっくりあります。ぜひ、参加しよう!
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2011.6. 19 研究会 安藤昌益の現代的意義

講師 石渡博明さん 安藤昌益の会事務局長 著書:『安藤昌益の世界 独創的思想はいかに生れたか』草思社

 転(天)の大気と人間とは呼吸しあっている、定(海)と魚とは呼吸しあっている。人間の吐く息は天の吸う息、人間の吸う息は天の吐く息。江戸時代中期の医者であり思想家「安藤昌益」の言葉です。家永三郎さんは人類の知的遺産に日本から登録される人物として、宗教家では親鸞、思想家では安藤昌益を挙げています。
 エコロジストの元祖・昌益に学ぼう!

安藤昌益の平和思想『もうひとつの世界へ』15号 特集:平和の創造をめざして 2008年6月号より
安藤昌益の平和思想(続)『プランB』24号 特集:安藤昌益に学ぶ 2009年12月号より

2011.4. 17 研究会 現代日本の司法官僚制

講師 西川伸一さん 明治大学教授

2011年4月17日に開催された日本針路研究所・第3回研究会において、標記テーマで報告しました。その報告原稿に従い内容を紹介します。

2011.6. 13 研究会 東京都の医療・福祉の現状

講師 吉田万三さん 元足立区長

「07年都知事選挙の経過と教訓」『もうひとつの世界へ』18号特集:都政はどうなっているか 2008年12月号

2011.1.22 日本針路研究所創立記念講演討論会
ベーシックインカムをどう見るか

講演 原田 泰氏(大和総研チーフエコノミスト)

日本針路研究所創立記念講演討論会の報告:村岡到
 1月22日、東京・文京区民センターで、日本針路研究所創立記念講演討論会が開かれ「ベーシックインカムをどう見るか」をテーマに原田泰さん(大和総研チーフエコノミスト)が講演した。司会は同研究所監事の西川伸一さん(明治大学教授)。『プランB』編集長の村岡到、生存権フォーラム事務局長(仮)の高橋聡さんがコメントとした。質疑も活発におこなわれ、つづいて懇親会も行なわれた。
 原田さんは、まず、日本の現実から出発することを強調した。これまでの日本の安心は、会社が中心だったが、現在は会社はそのような重みに耐えかね、正社員を採用しなくなった。だから、会社ではなくて、国家が直接、人々の安心を保証すべきで、そのもっとも単純で効果的な方策がベーシックインカムだ、と明らかにした。
 会社と社会保険を安心の起点とすることは、ドイツの鉄血宰相ビスマルクが始めたことその目的は一部の労働者の篭絡であった。いいかげんにビスマルクの亡霊から自由になるべきである。
 原田講演でもっとも核心的なことは、20歳から65歳までの約7500万人に月7万円のベーシックインカムなら62兆円必要だが、雇用者所得262兆円(2008年)に3割の税金を課せば78兆円だから実現可能であると明確にしたことである。
 こうすることによって、憲法第二五条の生存権を保障できる。
 質疑討論では、長野県中川村の曽我逸郎村長、吉田万三さん(元足立区長)などからさまざまな意見が出された。ベーシックインカムの支給によって、他の社会保障が削減されては困ること、月7万円では低すぎるのではないか、3割のフラット税では累進制が考慮されていない、「前提とされている『会社が社会の安心を支えられなくなった』という認識は、別に言えば資本家がその役割を果たせなくなった、つまり資本制経済の限界として捉えるべきではないか、などの意見が出された。
 原田さんは、ベーシックインカム導入によって不要となる社会保障もあるが、医療保障などは削減する必要はないこと、フラット税ではなく累進税にしてもよい、などと答えた。(この講演はなんらかの形で発表する予定です)。
 岡山、大阪、石川、長野、群馬からも参加者があり、一定の拡がりを得ることができました。

2011.1.9 研究会 菜の花エコプランの展望

講師 相沢一正さん 東海村議会議員

 日本針路研究所は、1月9日に第一回研究会を開いた。報告は相沢一正さん(東海村村議)。参加者は13人。
 相沢さんは、反原発を主張するただ一人の村会議員として活動しながら、同時に、菜の花の栽培によって、菜種油を製造し、自然の循環を回復する活動も展開している。その経験をとおして、菜の花エコプランの内容と展望を話した。
 相沢さんたちの活動は、内橋克人氏の注目するところとなり、NHKの講座でも紹介された。