日本針路研究所

2013.10.27 討論会〈活憲左派〉とは何か

講師 村岡 到さん 『プランB』編集長

 参議院選挙で大勝した安倍晋三政権は、消費税増税を決定し、原発再稼働や集団的自衛権の容認に踏切ろうとし、TPPの年内合意・参加にむかって突き進んでいます。
どの問題でも国民・市民の願いや要求とは真向から対立していますが、残念ながら、選挙では「一強多弱」と評されるように、野党は共産党を除いて低落しています。躍進したとはいえ、共産党だけではとても反撃できません。憲法を活かすことを明確にした〈左派〉の共同行動こそが求められています。
 〈友愛社会〉として道筋を明らかにした村岡到さんの報告を素材にして、活発に意見交換する場を作りました。ぜひ参加して討論しよう。

2013.8.11 研究会 昭和天皇の第二の沖縄処分

報告
深津真澄さん ジャーナリスト:第30回石橋湛山賞『近代日本の分岐点』ロゴス刊 著者

 米軍は1945年4月1日、沖縄本島中部の西海岸に「鉄の嵐」と形容されるほど猛烈な爆撃と艦砲射撃を浴びせ、上陸した。この激戦の最中に天皇は、徹底抗戦から和平模索に決意を変えたという指摘もある。
 1979年になって、天皇自身も影響を憂慮した米国の公文書が発掘された。進藤栄一筑波大学助教授(当時)が雑誌『世界』4月号に発表した「沖縄、千島、そして安保」という論文で、天皇が「日本を守るためにアメリカが沖縄をはじめ琉球の他の諸島を占領し続けることを希望する」というメッセージを独自に米国務省に伝えていた。そうして、敗戦後の沖縄は米軍の占領下に置かれた。
 昭和天皇のメッセージは、新憲法が公布されたあとに為されたもので、明らかに憲法違反の越権行為である。天皇は憲法を無視して沖縄を切り捨てたのだ。この政治的行為は、明治の琉球処分に続く昭和の沖縄処分である。戦後日本の政治体制はどのようにして出来上がったのか。その真相を明らかにすることは、現下の政治情勢を正確に認識するためにも不可欠である。
 ぜひ、討論しようではありませんか!
テキスト:『プランB』第42号深津真澄論文 「秘められた昭和天皇の沖縄処分」1

2013.4.14 研究会 〈友愛〉の重要性──なぜ軽視されてきたのか

講師 村岡到 本誌編集長

 プランB41号掲載:「〈左翼〉の猛省・再興を──〈友愛〉の定位が活路」
 18世紀のフランス革命の標語とされた「自由・平等・友愛」は誰もが知っていますが、日本国憲法では「自由」は数回、「平等」は2回書いてありますが、「友愛」はゼロです。また、日本共産党の綱領では「自由」も「平等」も頻回に出てきますが、「友愛」はゼロです。この事実には何か大きな意味があるのではないかと思います。
 マルクスは『資本論』で「自由・平等・友愛」と書いてもよいところで、「自由・平等・所有・ベンサム」と書き換えました。
 「友愛」はキリスト教が主唱した徳目です。戦前の日本では、労働運動や社会主義運動が始まったばかりのころ、キリスト者の鈴木文治などが「友愛会」という労働組合を組織して闘いました。近年では、民主党が鳩山由紀夫氏が党首のころは綱領に近い文書で「友愛精神」と書いていましたが、つい先日の「綱領のたたき台(案)」では「友愛」は消えました。
 私は、「友愛」に、「敵」も含む他人を〈友として愛す〉という意味も込めて、〈友愛〉と表現して、高く掲げることが大切だと気づきました。それは、「敵・味方」という関係を突破するために必要なことです。〈平等〉の根底に〈友愛〉を据えることこそが、近代を突破する道なのだと思います。憲法も共産党の綱領も「友愛」に触れることができなかったのは、決定的な限界だったのです。〈友愛〉を据えることによって、歴史を見直し、活動の質を高めることができると考えます。他人、他潮流と反発・対立することが余りに多い左翼の宿弊を超えることができるのではないか。厳しい批判と〈友愛〉とを両立させることは可能でもあり、必要でもある。
 ぜひ、討論しようではありませんか!

報告
 四月一四日、文京区民センターでNPO日本針路研究所主催の研究会が開かれ、村岡到が「〈友愛〉の重要性──なぜ軽視されてきたのか」をテーマに報告し、討論した。参加者は一八人。
 村岡は、一八世紀のフランス革命の標語とされた「自由・平等・友愛」は誰もが知っているのに、日本国憲法では「自由」は数回、「平等」は二回書いてあるが、「友愛」はゼロであり、日本共産党の綱領では「自由」も「平等」も頻回に出てくるのに「友愛」はゼロであるのは、何故なのかと鋭角的に問題を提起し、「友愛」に、「敵」も含む他人を〈友として愛す〉という意味も込めて、〈友愛〉と表現して、高く掲げることが大切だと説明した。〈平等〉の根底に〈友愛〉を据えることこそが、近代を突破する道なのだと強調した。左派が「友愛」を嫌ったのはキリスト教への反発に依る。
 〈友愛〉を据えることによって、歴史を見直し、活動の質を高めることができるし、他人、他潮流と反発・対立することが余りに多い左翼の宿弊を超えることができる。
 討論も活発に交わされた。

2013.1.26 講演会 今、ウィリアム・モリスを考える

講師 大内秀明さん 東北大学名誉教授

 プランB40号掲載:いま、なぜモリスか──3.11、文明の大転換
 経済学者 大内秀明さんの『ウィリアム・モリスのマルクス主義』(平凡社新書)が話題となっています。モリスはマルクスと同時代人で、日本では「近代デザインの父」として広く知られていますが、実は社会主義者でもあったのです。モリスは芸術を中心軸として「社会主義」を構想しました。エンゲルスはモリスを「センチメンタルなユートピア主義」と冷たく切り捨てましたが、「国家社会主義」に対しても批判を加えていた、モリスの「社会主義論」は、ソ連邦崩壊後の今日においてこそ輝いています。
 閉塞を深め、政治の混迷がつづく今こそ、〈ユートピア〉に思いを馳せることが大切なヒントになると思われます。大内さんは、「唯物史観のドグマ」を鋭く批判して、モリスに学んで新しい未来像を提示しています。一緒に考え、討論しよう。
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